最近の厳しい経営環境を受けて宿泊施設では、新たな投資が難しい状況で、既存のハードのままで商品力の強化を図ることが必要となっている。
商品力の強化を図るためのポイントは、まず、館内外の清掃など基本的な衛生管理を徹底すること。次に、眺望、温泉など独自の強みを明確化してアピールすること。3つめは、お客さまとのコミュニケーションを強化することだ。当たり前に言われることだがちゃんとできているところは意外に少ない。
他にも、客室の備品などで商品力強化は可能だ。例えば、数種の枕のチョイスや小さい子ども用の昼寝セットの用意など、その宿に泊まるお客さまの期待に合致したサービスを提供すれば、費用負担も比較的少なく、お客さま満足度を高めることできる。
さらに、滞在において付加価値を左右する料理やスタッフの心地よい接遇などは、商品力強化を図る重要な要素で、絶え間なくブラッシュアップすることを常にお客さまから求められている。
このようにさまざまな商品力強化の方法があるが、いずれにも生かしたいのが、先ほど触れたお客さまとのコミュニケーション、すなわち会話を充実させるということだ。そのきっかけにぜひ取り入れたいのが「二十四節気」だ。
二十四節気とは、1年を24等分し、季節をさらに細かく示す基準として設けた日を個別の呼び名で表現したもの。例えば、これからなら立冬11月7日、小雪11月22日、大雪12月7日、冬至12月21日などがある。また、季節の変わり目を八節(冬至・夏至の二至、春分・秋分の二分と立春、立夏、立秋、立冬)と呼び、子供に馴染みのある節句は、人日、桃、端午、七夕、菊と5つあるので五節句。他にも雑節(節分、彼岸、八十八夜、入梅、半夏生、二百十日など18の季節がうつろう節目)がある。
この夏に宿泊した地方都市のビジネスホテルでも、客室に短冊を2、3枚置き、その短冊を飾りつける笹竹をロビーに設置する七夕イベントを催していた。旅館でも、秋は、すすき、団子など十五夜の装飾が一般的だが、これも二十四節気の発想だ。いずれも顧客との会話が弾むこととなる。
このように二十四節気は、身近であっても家庭ではそれと意識する機会が本当に減っている。せめて、伝統文化を守り続けることを期待された旅館くらいは、役割として二十四節気をお客さまとの会話に生かす発想を持ち続けてもらいたい。古くて新しい取り組みであり、費用負担も少なく独自性を出せるのも魅力である。
(観光経済新聞2011年11月5日掲載)
企画設計室 秋山 光